カナリーの米国株10-Kコレクション

米国株10-KやAnnual reportの訳を気の向くままに

減配の要因 利払いと買収

米国の高配当株に投資し、配当を再投資する戦略を採用している米国株投資家は多いと思います。今回はそういった方たちにとってネガティブな話、「減配」について書こうかなと思います。

 

今回は高配当株として扱われていた企業が、売り上げや利益をそれなりに出しているのに減配した例を挙げ、企業が減配する要因を探っていきたいと思います。

 

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  • アンハイザーブッシュ(利払いと債務が大きくなってしまって減配)

 アンハイザーブッシュはバドワイザーといったビールを製造している企業です。みなさんもご存知だと思います。昨年この企業は配当を減らす方針を発表しました。経営陣が減配を決めた理由は債務と利払いです。アンハイザーはここ2016年から、債務と利払いが急増し、インタレスカバレッジが低くなっていました。

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売上と営業利益をみれば、業績は安定していますが、利払いが増えてくれば純利益は当然のことながら圧縮されていきます。そして放っておけば売り上げは出ているけど雪だるまのように増えた利息を払うことができずに会社が危機的状態になるということも考えられます。では、どうやって膨らんだ債務と利払いを減らすか。今は金利が低いので、利払いが少なく済む債券を発行し、金利が高い古い債券から利払いの少ない債券に移行するというのも経営陣にとっては選択肢の一つかもしれません。ただ債務は増えますが。なのでやっぱり一番効果的なのは、単純に純資産を積み増すことでしょう。でもアンハイザーはここ2,3年において利益のほとんどを配当に回していましたから、じゃあ減配するしかないということで、減配したのだと思います。

 

高配当投資家の方はそのセクターやビジネスを判断基準として、安定したキャッシュフローや利益、継続的な増配を見込めるか判断しているようにみえます。もちろんこのような判断基準は大事ですが、カナリーとしては安定して配当を続けるためには、利払いと利益の間に十分なマージンが必要で、このマージンも安定した配当の要因になると考えています。

 今度はファイザーの減配例を見ていきます。2006年、2007年、ファイザー株は3-4%ほどの配当利回りを保っており、2009年まで増配を続けていましたから、リーマンショック前の時点では高配当株投資家にとっては魅力的な銘柄の一つだったと思います。しかし2009年にファイザーは配当を減額しました。その理由はワイズ社を買収する資金を捻出するためです。このように企業買収のお金を捻出するために、配当を減額するというパターンもあります。

 

因みに2009年のニューヨークタイムズの記事ではファイザーが信用格付けを気にしたため、買収資金を全て借り入れで賄うのではなく、減配で捻出したと書かれています。この時は深刻な不景気に見舞われていましたから、恐らく経営陣は信用格付けの格下げや、債務が増えることを恐れて減配という判断に至ったのだとカナリーは推測しています。またこれもカナリーの推測にすぎませんが、銀行団が思い切って買収資金のための貸し付けが出来なかったことも減配に至った理由の一つではないかとも考えています。この買収案件の融資に参加した銀行団はゴールドマン、シティ、JPモルガン、バンカメでした。シティやバンカメは当時、三途の川を渡りかけましたし、他の2行も無傷ではありませんでしたから、大きな金額を融資するほど元気がなかったと思います。またNYタイムズの記事によると、この銀行団は、公的資金の注入を受けながら買収案件に融資することについて批判を受けていたそうです。これも大規模に融資ができなかった要因かもしれません。カナリーはこうした銀行側の事情なども踏まえ、総合的に考えた結果、ファイザーの経営陣は減配という決断に至ったのではないかと、勝手に思っています。

 

カナリーの憶測が当たっているかは知りませんが、まあとにかく、投資家がいくら分析しようとも、「買収」といった投資家にとって予測不能なイベントによって配当が減額してしまうこともあるわけです。最近の例でいうと、減配ではありませんが、IBMはレッドハット買収後の債務が増えないように自社株買いを当分停止すると発表しています。このように経営陣が企業買収時に債務が増えることを嫌った場合、過去の業績が悪くなくても、利益率が良かろうとも、配当や自社株買いといった株主還元が減る可能性は十分あり得る話だとカナリーは思います。また、アメリカの銀行は不景気時にM&Aの融資から手を引くことがよくあります。この場合、大体のM&Aは破談になるのですが、もし経営陣が融資なしでもM&Aを実行したいと考えれば、減配して資金を捻出するということも考えられると思います(銀行の話はちょっと飛躍している感もありますが)。

 

ちょっと長く書きました。高配当株投資家にとっては嫌な話だったかもしれませんが、高配当株投資家だからこそネガティブなことについても考えていただけたらなと思います。

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