カナリーの米国株10-Kコレクション

米国株10-KやAnnual reportの訳を気の向くままに

テスラの珍しい買収手口

先日テスラはマクスウェル・テクノロジーという企業の買収を発表しました。大体2.3億ドル規模の買収案件となるそうです。

 

さて、ここから少しマニアックな話になりますが、テスラはマクスウェル・テクノロジーを珍しい手法で買収しようとしています。何が珍しいかというとマクスウェル・テクノロジー株主への条件です。条件は以下の通りです。

 

マクスウェル・テクノロジー株主は買収の対価として4.75ドルを株式交換で受け取る。

 

さて、少し変ではないでしょうか。普通、被買収株主への対価が「いくら」と決まっている場合、現金との交換になります。また株式交換の場合は、交換する株式の「比率」が予め決まっています。しかし今回のテスラの場合、株式交換であるのに「いくら」と決まっており、アメリカでも非常に珍しい買収手法をとっています。マクスウェル・テクノロジー株主が受け取るテスラ株の比率は以下の式で決められます。

 

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 つまり、対価の「価格」が予め決められ、交換比率がテスラの株価に応じて調整されるようになります。因みにカナリーの推測ですが上の式内の「オファー期限」というのは恐らく、TOBのようにマクスウェル・テクノロジー株主が株をテスラに応募出来る期限が今後設定され、その期限日のことを指すのだと考えています。ただTOB方式で株式交換をするというのも珍しいことで、実はカナリーもこの点はちょっと自信がありません。すみません…。

 

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さて、実はこの買収手法は買収する側にリスクがあります。その名も「売りスパイラルリスク」(カナリーが勝手に名付けています)です。どういうことか。上の式について少し考えて頂けると分かると思いますが、マクスウェル・テクノロジー株に対するテスラ株の交換比率は買収完了直前のテスラ株の株価によって決まり、テスラの株価が上がれば交換比率は低くなります。しかし一方で、株価が下がれば交換比率は高くなりますから、その分だけ新しく発行される株数が増えることになります。つまり、一度何かの拍子に株価が下がり始めると…、

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このような「売りのスパイラル」に陥る可能性があるわけです。ただ、テスラは一応このことを頭に入れて条項を付け加えており、テスラの株価が245.90ドル以下になった場合、交換比率は0.0193と固定されます。ですからこの交換比率以上に新株が増えることはありません。また、テスラと比較するとマクスウェル・テクノロジーは小さい会社で、そもそもの交換比率が小さいですから、テスラ株の「売りスパイラル」のリスクはほぼ無いでしょう。

 

正直、こんな珍しいことを書いても、読者の役に立たないだろうなとも思いましたが、まあ書いてみたかったので…。まあ「こんなこともあるんだな」程度に受け取ってもらえればと思います。

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