カナリーの米国株10-Kコレクション

米国株10-KやAnnual reportの訳を気の向くままに

ヘッジファンドやアクティビティストは友達 in US

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ヘッジファンドやアクティビティストと聞くと、常に利益に向かって走り、利益のためならどんなことでも躊躇なく実行する、このようなイメージを持っている方も多いと思います。特に日本ですと、個人投資家とは敵対する立場に立っており、個人投資家を負かして利益を取っていく、そういう印象を持っている人も多いのではないでしょうか。まあ確かにそういうときもあるでしょうが、アメリカではヘッジファンドやアクティビストは時に個人投資家の味方になってくれることがあります。

 

例えば、アクティビストは経営陣と交渉し特別配当や自社株買いを引き出してくれることもあります。またアクティビストやヘッジファンド個人投資家にとって最も役に立つのは企業買収などのコーポレートアクションの時です。今回は企業買収の時などにヘッジファンドやアクティビストが個人投資家の役に立った具体例を紹介したいと思います。

 

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デルの新規上場時の例

 

昨年のデルの新規上場の件は、スペシャルシチュエーションとして何度か書かせていただきましたが、よく知らない方も多いと思うのでことの経緯をもう一度簡単に書きます。

 

デルは昨年末まで未上場企業でしたが、代わりに子会社であるVMwareの業績に連動させるトラッキングストック(ティッカー;DVMT)というものを発行し、市場で流通させていました。しかし、デルは昨年、デル自らが上場する方針を固めます。ただ、デル自身が上場するためには、DVMTを上場廃止にしなければなりませんでした。そこでデルは新規上場する自社株と現金を組み合わせたトータル109ドルのパッケージと、DVMT株を交換する提案をDVMT株主に示し、交換した自社株をそのまま上場させることにしました。

 

さてこのような経緯でデルは新規上場に向けて動いていったわけですが、ここで現れたのが有名なカール・アイカーンなどを筆頭とするヘッジファンド勢です。彼らは109ドルという対価はDVMT株主にとっては安いと言い始めました。さらに「109ドルのパッケージに含まれるDELL株はまだ未上場株であり、新規上場時に幾らになるか不明なので、値段が確実に分かる現金の割合を多くしろ!」と主張しました。デルとヘッジファンド勢は当初、歩み寄りませんでしたが、数ヶ月の交渉の結果、最終的にデルは交換パッケージを109ドルから120ドルに引き上げ、パッケージ内の現金の割合も増やすことにしました。つまりヘッジファンド勢が勝ったわけです。当然、個人投資家も109ドルではなく、120ドルのパッケージを受け取れましたから、ヘッジファンド個人投資家にも恩恵をもたらしたことになります。

 

ゼロックス富士フィルムの件も、ヘッジファンド個人投資家を守ってくれた例だとカナリーは思っています。確かにゼロックスの先行きは明るいものではありませんが、キャッシュフローと営業利益を毎年それなりに生み出している企業に対し、買収側が一銭も払わないというのは失礼な話です。もっとダメな企業にでさえ値段が付き、買収されることもあるのですから。もしアイカーンなどが来なければ、ゼロックス株主は特別配当を受け取れたでしょうが、それはゼロックスから支給されるもので、株主にとっては±ゼロみたいなものです。おまけに第三者割当で株が希釈化されたわけですから、ゼロックス株の価値は大きく損なわれたことでしょう。アイカーンは良い仕事をしたと個人的に思っています。ちょっと話は逸れますが、この買収方法を「画期的なスキーム」と言っている会長がいましたが、この発言から如何に日本の経営者が株主のことを考えていないかみてとれます。

 

このようにヘッジファンドやアクティビストは個人投資家の味方になってくれる例はアメリカでは多いと思います。確かにアクティビストなどは、ごねて、経営陣を揺さぶり、大きい対価を引き出すためだけに株を買い占めるパターンが多いので、長期投資家の方は良く思わないかもしれません。また、必ずしも個人投資家の味方というわけでもありません。ただ個人投資家にメリットをもたらすこともよくあるので、彼らを毛嫌いしないであげてください。

 

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