カナリーの米国株10-Kコレクション

米国株10-KやAnnual reportの訳を気の向くままに

オルタナティブETFはどうなのか

オルタナティブは英語表記で”Alternative”で「代替の」とか「代わりの」といった意味があります。金融では伝統的な株式や債券を購入する運用ではなく、様々な戦略や金融商品を用いて投資することを指します。

 

さて、日系証券でオルタナティブETFの取り扱いはあまりないと思いますが、サクソバンクやIB証券では取り扱われています。カナリーはサクソバンクが特定口座に対応すれば、口座開設する人が増え、多くの人が今まで手に入らなかった金融商品を購入できるようになるのではと勝手に予測していますので、今回はアメリカのオルタナティブETFをみていきたいと思います。ETFdb.comによればオルタナティブETFと位置付けられるのは35本あるようです。今回はその中から、資産額が大きいものを2つ見ていきましょう。

 

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まずは

 

IQ ヘッジ・マルチストラテジートラッカーETF (ティッカー; QAI)

 

年間手数料; 0.79%

投資戦略;

ロングショートグローバルマクロ、マーケットニュートラルなどヘッジファンドが活用する様々な戦略

 

ETFdb.comによれば、オルタナティブETFの中で最も資産額が大きいETFがこのIQ ヘッジ・マルチストラテジートラッカーETFです。IQ ヘッジ・マルチストラテジー指数に連動するように作られています。ニューヨークライフという生命保険会社の投資部門が手掛ける商品です。ETF価格の推移はこんな感じ。

 

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S&P500と比較すると物足りないものになっています。昨年の成績は-3%ほどとダウ平均などと遜色がなく、しかもショートポジションも取っているはずなのにマイナスというのは、ちょっとなあと思います。ただこのETFはあくまで指数トラッカーなので、この残念な成績の責任はETFではなくヘッジファンド界全体にあるわけですが。現在の主なポートフォリオは以下の通り。

 

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現在は短期債(ETF)がポートフォリオの22%を占めています(T-billを含めればもっと)。もし今年中の利上げがなければ、そこそこの利回りを得られる短期債はおいしいと思っているファンドが多いのでしょうか。ただ単純に、短期債の比率が恒常的に高いということも考えられます。まあ過去のポートフォリオをみればわかりますが。短期債の他にも中期の社債やT-billなどが多く含まれており、債券系の比率が高いです。もし債券比率が高い状況が現在だけではなく常に続いている状態であるならば、大きなリターンは見込めないかもしれません。

 

まあリスクをある程度抑えて程々のリターンで良いと考える人には良いかもしれません。ただ将来、ポートフォリオの内容がガラッと変わることもあり得ますので、ほったらかしにするのは良くないと思います。

 

 

IQ マージャーアービトラージ ETF (ティッカー; MNA)

 

年間手数料; 0.78%

投資戦略; リスクアービトラージ

 

こちらもニューヨークライフが手掛ける買収・合併アービトラージに特化したETFで、ETFdb.comのオルタナティブカテゴリーの中では2番目に資産額が大きいETFです。ETF価格は以下の通りに推移しています。

 

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これを見るとリスクが低く安定したリターンを受け取れるように思えますが、カナリーはこのETFを購入する際はいくつか留意しなければいけないポイントがあると思います。

 

  1. ETFでの投資がリスクアービトラージのメリットを打ち消す。

リスクアービトラージの大きなメリットは、リターンを短期間で受け取ることが出来る点です。アービトラージですから利益が限定されているのは当然であり、利益率としては2-4%取れればよいほうかもしれません。しかし、この少ないリターンを半年や数ヶ月で得られるという点にリスクアービトラージのメリットがあります。しかし、このETFだと結局、1年かけて2-5%のリターンを受け取ることになるので、リスクアービトラージの恩恵を受けられません。

 

  1. 深刻な不況では大きな損失になることも。

リスクアービトラージも一応アービトラージなので、市場が落ちこんでいるときでもリターンを得ることが出来ます。例えば、昨年末にダウ平均やS&P500などは下落しましたが、リスクアービトラージでは痛手を負うことはありませんでした。市場が下落しても損失が最小限に抑えられ、さらにリターンも得られる可能性がある点はリスクアービトラージのメリットです。しかし、経済が深刻な不況に陥った場合、リスクアービトラージは株式市場並み、もしくはそれ以上の損失を出す可能性があります。というのも、深刻な不景気の下では、リスクアービトラージの利益の源泉である買収案件自体が破談になるケースが多く、買収成立に賭けていたアービトラージャーは損失を被るからです。実際にリーマンショック時、この分野は40%-50%の損失を出したと言われています。また研究では、これまでの歴史の中で深刻な不景気に陥った時だけリスクアービトラージのパフォーマンスは株式市場に相関する、つまり同じように下落するという結果が出ています。

 

以上のことを踏まえると、このマージャーアービトラージETFは「アービトラージが持つ本来のメリットを打ち消しているのに、不景気時のリスクは高い金融商品」に見えてしまい、カナリーとしては正直あまりお勧めできません。

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今回はオルタナティブETFを2つみてきました。オルタナティブETFのポジティブな側面をカナリーは見いだせず、主張がはっきりしないため記事にすることを躊躇しましたが、まあこういう記事もアリでしょう。購入を検討する際には参考にしていただければ嬉しいです。

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