カナリーの米国株10-Kコレクション

米国株10-KやAnnual reportの訳を気の向くままに

米国株のTOB; ダッチテンダー方式とは

今回は投資家や投機家にチャンスや利益をもたらしてくれるTOBについてです。アメリカだとテンダーオファー(Tender Offer)という言い方をします。TOBとは皆さんご存知の通り、企業が(自社でも他社でも)ある一定の価格で株を投資家から買い集めるというものです。日本の場合、買付価格と買付する株式数が予め決まっていて、応募株式数が超過した場合には、あん分比例方式で買い付けが行われるケースがほとんどだと思います。

 

もちろん、アメリカでもこのような方式で行うTOBもあるのですが(全ての発行済株式を買い取る場合はこっち)、日本ではほとんど使われない、ダッチテンダー方式というのもアメリカでは主流な方式となっています。

 

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  • ダッチテンダー方式とは

 

ダッチテンダー方式では、買付価格が「10ドル」、「11ドル」のように定まっておらず、「10ドルから12ドル」、「100ドルから110ドル」というように価格範囲TOBの募集がかけられます。そしてTOBに応募したい投資家は、いくらで買い取ってもらいたいか、定められた価格範囲内で決めてTOBに応募します。募集期間終了後、TOBを行う企業は、価格範囲内で安い価格で応募された株から買い取りを決めていき、最終的に、予め定められた買取上限株数に達したその価格を買い付け価格とし、買い付け価格以下で応募された株は全て、買い付け価格でTOBされます。

 

と、このクソみたいな説明だと???という方が多いと思いますので(読み返したら自分が説明下手であることに気づきました)、具体的な例と図で説明していきます。

 

 

例) 買付範囲が100ドルから110ドルで、買付上限株数が10000株のダッチテンダー

 

TOBの応募状況が以下の通りになったとします。

 

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安い株価で応募された株から順次買取が決まっていきます。

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 105ドルの段階で買取上限株数(合算の列に注目)の10000株に達しました。この時点で、買付価格は105ドルと決まり、105ドル以下で応募された株は全て105ドルで買い取られます。一方で105ドルより大きい価格で応募された株は買い取られません。

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上記の例はダッチテンダーの典型的なパターンなのですが、状況によっては以下の2つのパターンもあります。

・価格範囲の最低価格で既に上限株数に到達している場合

 

この場合、最低価格において、あん分比例で買い付けられます(最低価格で応募された株のみTOBされる)。

 

・応募株数が上限株数に達しなかった場合

 

この場合、価格範囲内の最高価格で、応募された全ての株が買い付けられます。

 

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このように通常のTOBに比べ、少々複雑な仕組みとなっております。通常のTOBの場合、上限株数がどのくらいか、どれくらいの投資家がTOBに応じるかが気になる点です。しかしダッチテンダーの場合、他の投資家がどのくらいの価格でTOBに応募するかも気にしなければなりませんから、考えなければいけないことが増えますし、不確実性も通常のTOBに比べて増してきます。ただその不確実性が時として裁定の機会を提供することがあります。

 

日本ではこのダッチテンダー方式を使ったTOBは一度も無いらしいのですが、アメリカでは主流のTOB方式なので、米国株投資家の方は覚えておいたほうが良いかと思います。